8年目の決着 ―モスクワの延長戦は終わっていない―
2018年の準決勝、延長の末にイングランドの夢を砕いたのはクロアチアだった。あの夜の続きが、ダラスで始まる。
日本時間6月18日の朝5時、ダラスのAT&Tスタジアム。グループステージで一番「因縁」の濃いカードがこれだ。イングランド対クロアチア。2018年ロシア大会の準決勝、先制したイングランドにペリシッチとマンジュキッチが牙を剥き、延長2-1。人口400万の小国が、サッカーの母国を泣かせて初の決勝に進んだ夜だ。
イングランドは2021年のEUROで1-0と一矢報いた。だがW杯の借りはW杯でしか返せねえ。1966年以来の戴冠を狙うスリー・ライオンズにとって、この初戦は単なる勝ち点3じゃない。8年間引きずった棘を抜く儀式だ。
そして対面に立つのは、40歳のルカ・モドリッチ。あの準決勝で中盤を支配した男が、まだピッチに立ってる。年齢を超越した技術と、PK戦に滅法強い『トーナメントの鬼』の経験。対するは若き万能王ベリンガム。世代の交差点で、中盤の覇権が争われる。
ただし両者、直近に傷がある。イングランドは3月に日本相手に0-1で落とし、クロアチアはブラジルに1-3。完璧なチーム同士じゃねえ。だからこそ、当日の集中力が全部を決める。覚えとけ。
攻守に効く次世代の主役。2018年の屈辱を知らない世代が、知らないままに借りを返す——それが一番強い復讐だろ。
40歳の生ける伝説。モスクワでイングランドを沈めた張本人が、最後の戦場に立つ。
2018年を知る点取り屋にして司令塔。あの夜ピッチにいた男の執念は、若手のそれとは質が違う。
ベリンガム対クロアチア中盤。ここでボールがどっちに長く留まるかで試合のリズムが決まる。最初の20分、中盤での球際を数えろ。それが90分の予告編だ。
クロアチアの強みは経験、弱みは年齢だ。70分を過ぎてモドリッチの足が止まるか、それとも経験で試合を「眠らせて」体力を温存するか。ベテランの試合運びってのは、そこに出る。
イングランドの伝統芸はセットプレーだ。堅い試合になるほど、CKとFKの一発が物を言う。クロアチアの集中が一瞬切れるのを、母国は待ってる。
若さと勢いでイングランド優位、が俺の読みだ。だがクロアチアってのは、こっちが「終わった」と思った頃に牙を剥く国だ。90分で決めきれなかったら——モスクワの記憶が、イングランドの足を重くする。
「ペリシッチとマンジュキッチにやられた2018年の準決勝の再戦だぞ」——この一言で、ただの初戦が8年越しのドラマに変わる。

