裏の決戦 ―日本の運命は深夜2時に動く―
日本×チュニジアの11時間前、ヒューストンで日本の運命を左右する試合が行われる。オランダ対スウェーデン。これは「裏」の決戦だ。
日本時間6月21日の深夜2時、ヒューストンのNRGスタジアム。お前さんがこの試合を眠って見逃すなら、玄人は名乗れねえ。オランダ対スウェーデン——グループFの「もう一つの決戦」であり、同じ日の13時にキックオフされる日本×チュニジアの景色を、先に塗り替える一戦だからだ。
オランダはトータルフットボールの発祥国にして『無冠の帝王』。W杯決勝に3度進んで3度負けた、優勝なき決勝最多進出国だ。対するスウェーデンは、プレーオフでウクライナとポーランドを破って滑り込んだ挑戦者。監督交代を機に5バックへ舵を切り、一気に牙を研いできた。エレガントな帝王に、北欧の重戦車が正面から突っ込む構図だ。
そして見逃せねえのが、リバプールの同窓会だ。オランダの守備の支柱ファン・ダイクとガクポ、スウェーデンの点取り屋イサク。クラブの同僚同士が、国の誇りを背負って殴り合う。ファン・ダイク対イサク——世界最高峰のCBとモダンな点取り屋の一騎打ちは、この試合の心臓だ。
スウェーデンの武器は高さとセットプレー、弱点は守備の不安定さ。オランダの武器はビルドアップ、泣き所も実はビルドアップだ。どっちの急所が先に裂けるか。覚えとけ、この結果次第で日本の最終戦の重みが変わる。
世界最高峰のセンターバック。こいつが立ってるだけで、オランダの守備は一枚岩になる。
しなやかさと得点力を兼備した点取り屋。クラブの同僚ファン・ダイクの首を、国のために獲りに来る。
ゴリゴリ突進して当たり負けしないアーセナルのFW。イサクとの2枚看板は、どんな守備陣にとっても悪夢だ。
長身で技術もある万能アタッカー。左から仕掛けて自分で決め切る、帝王の槍だ。
リバプールで毎日顔を合わせてる二人が、手の内を知り尽くした上で殺し合う。イサクの裏抜けに、ファン・ダイクが一歩で間に合うかどうか。この数センチの攻防が試合を決める。
監督交代後の5バックは堅いが、最終ラインは重くて足が遅い。オランダが裏にスピードで走らせるか、それともボールを持たされて手詰まりになるか。保持率が高い方が苦しむ試合かもしれねえぞ。
この試合の勝者と、日本は最終戦周辺で殴り合うことになる。深夜2時の90分は、6月26日朝の日本×スウェーデンの予告編だ。スウェーデンの強さを、ここで採点しておけ。
地力はオランダ。だがスウェーデンのセットプレー一発で試合が転ぶ画が、俺にはくっきり見える。引き分けなら、グループFは最終節まで全部もつれる。日本にとって一番スリリングな結末は、案外それだ。
「ファン・ダイク、ガクポ、イサク——あれ、リバプールの紅白戦だろ」。深夜2時にこれを呟けるやつが、本物のW杯ジャンキーだ。

